辺りはもう暗くなり始めている。 「もう一往復だけ」そう航太にお願いしようと振り向いた時、モワっとした風、風というより空気の揺らぎを感じた。 本当に今日はおかしい。 日中に太陽の光に目が疲れたのか、暗いところがよく見通せない。 闇がゆらゆらと揺れながら、私たちに纏わりついてくるように感じた。 後ろを振り向くと思ったよりも暗く、知らぬ間に闇に忍び寄られたような気がしてドキリとした。