でも、どうして航太の方が辛いのか?

確かに私は航太に不快感を与えたんだろう。

でも、私は誠心誠意航太に謝った。

あとやってないことは土下座くらいだ。

それで許してくれないなら、もうだめって思えってことなんだと思う。


「まあ、いいさ。あのな、恨みっつうのは恨んだ方が辛いんだぜ? 考えてもみろ。顔を見る度、そのことを思い出すんだぜ?」

−耳が痛いんですけど……

「いや、まあ、最後まで聞きな。でな、優子。お前さんの中で諦めがねえか? もういいや! って。するとな、お前さんは新しい環境なりを手に入れれば、航太とのことは、過去のことに出来る。だがな、恨んだほうはそうはいかねえ。やり場の無い恨みはそいつを醜くするんだ」


今度は左前足で頭を抱えるようにして洗いながら続ける。

そういえば、左前足だけは黒い靴下は履いてない。