「ん〜? 俺? 俺はしがないドラマー。タイコ叩きだよぉ。まぁ、早々に思い出してくれたほうが話が早いと思うんだけどねぇ」 のんびりした口調とは、うってかわってその手は相手の胸ぐらを荒々しく掴む。 「はっ、離せよっ!」 「じゃあ、離すよ。敦士くん」 あっさりと急に開いた掌に、予想に反した身体のバランスを崩して、敦士と呼ばれた若い男はよろめいた。