「何だよそれ…
それじゃあ港は…」

「18までもたないと宣告されている。
18という数字もどこにも出かけずにベットで暮していればだと…」

「じゃあなに!?
港ちゃんは学校に行ったりしてたから病状が悪化したの??」

「そうだ。
姉が代わりに病院に入院して、自分は高校にかよう。
親に内緒で周りに協力してもらったらしい…

病院にいる時もたびたび抜けだしていたそうだから…
由香に会いに行って脅したり…
俺たちの通う中学を見に行ったり。」


「ねぇ…港ちゃんが助かる方法はないの??
みんなで…5人でデビューするんでしょ?同じ事務所で…同じグループとして…」

「そのことに関しては港としてやっていたわけじゃないから、姉の渚が引き継ぐそうだ。」


俺も辛い…
あいつはもう助からないなんて…
信じたくないから、口に出さない。

「そんな事を聞いてるんじゃない!!
ウチは…港ちゃんが助かるのかどうかを知りたいの!!」

「俺は…言いたくない。」

「しっかり現実を見てよ!!
棗はそんな奴じゃないでしょ!!
現実を受け止めても…それを覆そうとする男でしょ!?」

「それはケンカや勉強だけだよ…」

「えっ…」

「俺だって考えた。
考えたけど俺には医者の知識があるわけじゃない…
医者が無理だと言ったことを素人が覆すのは難しいんだよ…」

「でも…」

パーン…

「っ…
何するんですか由香さん!!
痛いんですけど!!」

「目を覚ましなよ…実奈ちゃん。
棗は最初からあきらめるような奴じゃない。
アタシはこの目で見たの。
棗が…人に頭を下げることのない棗が…」

「いいんだ…由香。
実奈の言いたいこともわかる…」

「だめ。

いい実奈ちゃん?
棗は病院中の医者に港ちゃんが助かる方法はないか回って聞いていたわ。
どんなに冷たくされても、けなされても…
あきらめないで頭を下げて回っていたの。

でも、どの医者も同じことを言ったの…
≪助かる方法はない。≫≪助けられない≫
それでもまだあなたは棗のことを罵るの?

何もしていないあなたが…」