「大貴ごめんね〜。ママ、もういないの?」


「いないよ〜。ピノコにインスタントのお粥食べさせてからすぐに出かけた!」


ずいぶん長い間ピノコを抱いていたのか、大貴は腕をグルグル回した。


「まったく!どうせなら家族全員分のご飯作って行けよ!」


ブツブツ文句を言いながら、機嫌が良くなったピノコを再び大貴に預け、アタシは夕飯の支度にとりかかった。


学校でいくら悩んでも、家に帰ると悩む暇もないくらい忙しい。


いつもはそれが苦痛だったけど、今日はそれがありがたい。


じゃなきゃ、また千草の事で頭が一杯になりそうだ。