「もう!入るからね!」


ガラガラ…。


ふすまを開けると、寿一は布団に潜って丸くなっていた。


「どうしたの?」


「別に…。」


布団から顔を半分だけ出して答える寿一にアタシは近づく。


「ごめんね、遅くなって。ご飯、もうすぐだよ?」


「別に平気…。」


ご飯と聞けば飛び起きる寿一がそんな反応をするなんて有り得ない。


「ねぇ、具合悪いの?」


心配したアタシが布団に手をかけると、寿一は掛け布団をがっちり掴んだ。

「平気だってば!出てってよ!」


「アタシは心配して…。」


「マンマー!」


言いかけた時、タイミングよくピノコが泣いた。

「ピノコ泣いてるよ。」


寿一は、早く行けと言わんばかりに顎を使って、あっち行けと言う。


「ご飯できたら呼ぶからね!」


その態度にムカつきつつも、とりあえずアタシはピノコの所へ戻った。