「離して!」


アタシの手を強く振り払うと、千草は走って教室を出た。


なんかもう…。
意味わかんないよ…。


距離を置くって何?
アタシとは話しをしたくないって事?


涙が頬を伝った。


「利香?」


アタシ達のやり取りを教室の入り口で見ていた成宮君が近寄ってくる。


「どうかした?」


「あのね、千草がね…。」

成宮君の顔を見たら、また涙がどっと溢れた。


「ごめん、利香。話し、聞いてあげたいんだけど、実は急用で帰らなくちゃならないんだ。」


「えっ?急用?」


「うん。母さんが具合悪いみたいでさ、薬買って来てくれって頼まれちゃって…。」


「そっか…。それなら仕方ないね?早く帰ってあげて。」


成宮君に話しを聞いて欲しかったから、かなりガッカリしたけど、事情が事情だから仕方ない。


「ごめんな?ちゃんと埋め合わせするから。」


成宮君はアタシの頭を優しく撫でてくれた。