「やめて!喧嘩しないでよー!」


アタシとエマの間に大貴が止めに入った。


「エマ姉、どうしてそんな事言うの?利香姉がデートできないのはエマ姉が家の手伝い何もしないからじゃないかー!」


大貴に指摘されたエマは悔しそうな顔をした。


「ふん!やってらんない!利香姉も遊びたいなら遊べばいいじゃん?いかにも自分ばっかり苦労してますみたいな顔してムカつくんだよ!」


「アタシは別に苦労なんて…。」


してないとは言えないよね…。


アタシが黙ると、エマは携帯を握りしめて部屋に閉じこもってしまった。


「また一人いじけた人が増えたね?」


大貴が困った顔をしたがらアタシを見上げた。


「そうだね…。お姉ちゃん、嫌われ者だね?」


自分で言って悲しくなる。
どうしてアタシの気持ちを誰もわかってくれないんだろ?


「そんなわけないよ!僕はお姉ちゃん大好きだよ!トシ兄やエマ姉、それにピノコだって!」


「うん…。大貴だけがアタシの見方だよ?」


大貴の頭を撫でると、ピノコがアタシの足につかまり立ちする。


「あぁ、ピノコもアタシの見方だよ!」


「マンマー!ンー!」


お餅みたいに柔らかいピノコのほっぺたにアタシはキスした。