「ただいま〜!」


夜9時過ぎて、やっとエマが帰宅した。
両手に買い物袋をぶら下げている。


「利香姉、これあげる。」

エマはアタシに化粧品が入ったポーチを渡した。


「えぇ?これ、エマが使ってるやつじゃん?」


中身はまだまだ新しいマスカラやアイライナー、リップクリームがぎっしり詰まっている。


「うん、新しく全部揃えたから。」


「新しくって、彼氏高校生でしょ?どうしてそんなお金あるの?」


「高校生の彼とは別の彼氏。今日会ってたのは鳶職の彼。稼ぎいいんだ〜!携帯もヤツが払ってくれてるから助かるよ!」

楽しそうに買ったばかりの商品を机に並べながら、エマは何て事なさそうに答える。


「呆れた!それって二股じゃない?それも社会人?中学生をこんな時間まで連れまわして、何でも買い与える男と付き合ってるわけ?!」


バン!


アタシがそう言うとエマはテーブルを殴った。