「ママに説得するように言われたんですか?」


率直に聞いてみる。


梓さんはバックからりんごとナイフを取り出し、器用に剥き始めた。


クルクルとナイフを回し、器用に皮をむくと、病室の中いっぱいに爽やかな香りが広がる。


綺麗に皮がむかれたひとかけらを梓さんから受け取りかじった。


「美味しい…。」


甘酸っぱくてみずみずしいりんごを食べると、少し元気がでた。


アタシに笑顔が戻ったのを確認すると梓さんは話し始めた。