「ご…ごめ…。」


途中まで言いかけたけど、どうしてもアタシは謝る事ができない。


謝ったら、今までのアタシの努力、全てが報われないような気がして…。


それでもアタシは一生懸命母親代わりをしてきたんだ!


って…。


そんなちっぽけなプライドを捨てきる事ができなかった。


声を殺して泣くアタシを、エマは同情するように、寿一は責めるように、大貴はその両方を兼ね備えたような複雑な眼差しで見つめている。


一度壊れかけたアタシたち家族の関係は、ますます複雑になっていく。


長年の生活によって築き上げた絆と信頼は、こんなにももろかったなんて…。


ガラガラと見えない何かが崩壊していく恐怖にアタシはただ怯えていた。