その夜、アタシはなるべく平常心を保とうとしたのだけど、上の空になり、ため息ばかりついていた。


「利香姉、元気ないね?なんかあったの?」


勘のいい大貴がアタシを心配する。


「何もないよ!ほら、早く寝なさい。」


「うん…。僕、利香姉と一緒に寝てもいいかな?」


「えぇ〜?どうしたの、突然?」


「だって利香姉が悲しそうな顔をしてるんだもん…。」


大貴がアタシにしがみつく。


あぁ、アタシはダメねぇ。でも、絶対に他の兄弟たちには言えない。


「ありがとう、大貴!じゃあピノコと三人で寝ようか?」


「うん!」


リビングに布団を運んで、アタシは大貴とピノコに挟まれて眠った。


2人の寝息が聞こえてきて、そっと布団を抜け出し、台所でママの帰りを待つ。


「あれ、まだ起きてたの?」


いつもはお酒臭いママが珍しくシラフで帰ってきて、アタシは声を潜めて今日の出来事を話した。