「どういう事なの?電話代が三万越えてるじゃない!」


エマはばつが悪そうに請求書から目をそらしてあぐらをかいた。


「こんなに家の電話使って、どうやって払うのよ?」


姉2人が言い争うピリピリした空気に耐えられなくなったのか、大貴がピノコを抱えて寿一の部屋に非難した。


「だって…。」


「だって…。何よ?」


「だって携帯が無いんだもん、仕方ないじゃん?」


「はぁ〜?仕方ないじゃん?じゃないでしょ?このままじゃ電話代で生活費が消えちゃう。せっかく10円、20円のとこを切り詰めて節約してるのに、ここで贅沢したらなんの意味もないよ!」


エマは口を三角に尖らせ、黙っている。


「聞いてる?長電話自粛しなきゃご飯食べれないって言ってんの!」


そう怒鳴ったアタシにエマは半笑いで言った。


「ご飯食べれないより電話できない方が辛いんだけど?」


「バカ!!」


アタシの大声に怯えたのか、ふすまの向こうでピノコが泣き出した。


けど、アタシはそれに構ってなんかいられなかった。