アタシにとって進路を決めるという事は、金銭面だけが問題なわけじゃない。


アタシがいなくなれば誰がご飯を作るの?


誰が掃除や洗濯をするの?


誰が小さいこの子たちの頭を撫でてやり、そして叱ってやるんだろう?


兄弟達に、心までひもじい思いをさせるわけにはいかない。


しっかりしなきゃ。


アタシがしっかりしなきゃいけないんだ!


だってアタシは、この家の主婦であり母親代わりなんだもん。


「ほらほら、もう泣かないの?夕ご飯の支度しなくちゃいけないからね!」


2人から離れ、アタシは夕ご飯の支度に取りかかる。


安心したのか、大貴はすぐにいつもの大貴に戻って、ピノコの面倒を見てくれている。


汚れた窓から差し込む美しすぎる夕日と、刻んだ玉ねぎが、目にも心にも沁みて、涙が滲んだ。