「利香はさ、塾とか行ってないし、家の事とか全部やってんのに成績いいよね?いつ勉強してるの?」


「アタシ?アタシは特に…。普通に授業受けて、宿題だけは忘れないようにしてるだけ。テスト前だって家事からは逃げられないし、そりゃ少しは勉強するけど、みっちりって訳にはね。」


そう。
アタシにはあまり自分の時間がない。
だから授業中、しっかり先生の話しを聞いて、与えられた課題をこなしているだけ。


「ふぅ〜。頭の出来が違うのかな?」


「そんな事ないよ。千草だって頭悪くないし。」

ただ近頃、授業中でも携帯ばかりいじっているのが原因だと思うけど…。

もしかして、好きな人といい感じなのかな?





「利香いるー?」


成宮君がアタシを訪ねてやってきた。


チッ!
またかよ…。


ヒラヒラ手を振る成宮君にアタシは愛想笑いを浮かべた。


別れたにも関わらず、成宮君は、相変わらず忘れ物をしたらアタシに借りにくる。


前はそれすら嬉しかったのに、今じゃダルい。
どういうつもりかと思う。


付き合ってると付き合ってないじゃ気持ちのモチベーションがこんなに違うんだ…。