翌日、登校したｱﾀｼにいつも一番に声をかけてくるはずの千草は学校に姿を表さなかった。


やっぱり何かあったんだ…。


心配する気持ちとは裏腹に、どこかでホッとしている自分がいる。


クラスメートの菜々子が声をかけてきた。


｢おはよう！千草、今日どうしたの？｣


｢ん〜？どうしたんだろ？｣


曖昧な返事を返すｱﾀｼに、菜々子は興味津々の顔でさらに詰め寄る。


｢ねぇ、昨日千草と言い争いしてなかった？喧嘩したの？｣


傷口に塩を塗るような事を平気でする菜々子に苛立つ。


｢別にしてないよ。｣


｢本当に？なんかあったなら相談乗るし！ほら、千草ってちょっとお嬢様だからって調子こいてるとこあるじゃん？うちらみたいな貧乏人をバカにしてるんだよね？その事で利香とうまくいってないんじゃないかなと思ったの。｣


菜々子はさも嬉しそうに千草の悪口を言った。