「で…つかぬことを聞くけど、そちらの《霊》はどちらさん?」
「じじじ、地味なお嬢さん!キミ、俺の姿が見えるんだね?!」
「アレ〜否定出来ない自分が居るー。……まぁ、見えますけど…」
地味女の包帯は一向に取れる気配を見せない程厳重に巻かれている。そして、新たに増えている膝のガーゼ。
一瞬だけ良心が痛んだような気がした。
「あぁ!思い出した!!」
と、菊花は声を張り上げて加藤を指差した。
「何だよ地味女。…知っているのか、コイツのこと」
「"地味女"じゃなくて《高村 菊花》という立派な名前があります。——この霊って、昨日玖珂君に告白した先輩の後ろに居た背後霊よね?」
「待て待て待て——。何でテメェが俺の告白現場知ってるんだよ」
「友達と自販機の所に行こうとしたら見たのよ。あれは不可抗力だってば、にしても……玖珂君、物凄くモテるのね」
「は、はぁ?」
地味———いや、高村は何故か椅子に座ってアイスコーヒーを取り出していた。
「玖珂っち、同じ男から見ても格好良いからねー。えっと高村さんだっけ?俺は"加藤"って言うんだよ、ヨロシク」
「あっ、高村菊花です。どうも宜しくお願いします。…もう驚きですよ、玖珂君スッピンでも男にもモテているという事実が——」
「待て待て待て高村——。何か今、スッゲー真実が耳に飛び込んで来た」
「い、いや…だから。玖珂君は男に——」
「止めろ!それ以上は聞きたくネェ!!」
正影は耳を塞ぎながら菊花を睨むのだが、「だったら最初から聞かなきゃ良いのに」という言葉は聞こえなかった。

