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耳元に聞こえて来る「風の声」…。荒々しい気配と…
先ほど、「先輩」から感じ取った"狂気"にた似た"殺気"が未だ体を撫でるのだ。——一体、どうしてこんなことになったのは今や解らないけれど…
(……誰か、助けて…)
この鉄臭く、ぬかるんだ空間から…明るい世界へ解き放って欲しい。…上に手を伸ばすのだが、何も見えない…
何も見えない、
何も聞こえない、
何も、解らないんだ。
誰かのせいにしては逃げ隠れしてる日々、…痛くて仕方ないよ。
穂積は…崩れた体を起こしながら、唇をぎゅっと噛み締めたのだ。そして、視界の端に見えた"男達"が厭らしく笑いながら僕の"ブレスレット"を見せつけて来る。
「っ——!!??」
観客の方でキラリと光る——命よりも大切なブレスレットが…。そして、休憩時間になってトボトボと歩き出せば——
「「スイマセーン、助っ人でーす」」
低音のセクシーボイスが棒読み加減で声を上げる。
その背後で笑う「先輩」はニヒルな笑みを浮かべて、腕を組んでいたのだ。

