彼の手がキライ



続けて、ね。


そういえば、これってお金はいくらかかるの?


高かったら続けて通えないよ。


わたしは新井達也のお父さんに“ありがとうございました”と言い、待合室みたいなところに戻った。


待合室では新井達也がソファーに座って雑誌を読んでいた。


「終わったよ」


雑誌に向いていた彼の視線がわたしに移動する。


大きな瞳は少し細くなり目尻を下げた。


「どうだった?少し楽になっただろ?」


雑誌をパタンと閉じて、たくさん雑誌の表紙が見える本棚にそれを戻した。