彼の手がキライ



何かを確かめるように耳の下を指で押さえられた。


指はすぐに耳の下から離れ、首の後ろに手を置かれた。


首が持ち上げられる感じ。


「力抜いて下さいね」


ち、力抜くってどんな感じ?


力入れているつもりじゃないんだけど……。


「枕に頭を預けるようにしたら力が抜けると思うんですが……」


新井達也のお父さんの手を枕だと考えると、いつも寝る時はもう少し視線が下に行く気がする。


視線を下げると力が抜けたのか、新井達也のお父さんの手が動いた。