彼の手がキライ



ユラユラ、ユラユラ、電車と共に体が揺れる。


窓の外は見慣れた景色になってきた。


小学5年生の夏まで住んでいたところ。


しかも、今でもここには2週間に1回は来るから、電車からの景色は覚えてしまっている。



窓の外の景色は、家や店から太い鉄の柱に変わる。


駅の中に入ってきたみたい。


『〇〇駅~、〇〇駅~』


徐々に落ちるスピード。


ホームには、あまり人はいない。


この駅は、そんなに大きな駅ではないから。