彼の手がキライ



前はお母さんの靴が大きいと思っていたのに、わたしが成長した今、サイズはほとんど変わらない。


お母さんは、ここまでわたしを育ててくれたんだ。



「あ、美羽帰ってたんだ?」


いつも布団を敷いて寝る部屋から、ペタペタと足音が玄関に近づく。


部屋にいるのは1人しかいない。


「さっき帰ってきたばっかりだよ。
お父さんちに行ってきた」


お母さんは寝起きなのか、少しボサボサとした髪を触りながら大きなあくびをした。


昼間に寝るのは夜働くため。