彼の手がキライ







新井達也と別れ、歩いて20分。


少しボロいアパートが見えてきた。


そのアパートの、2階へと繋がっている階段を1段ずつリズムよく登っていく。


階段から1番離れたとこにあるドア。


そこがわたしとお母さんが住む部屋。


ピンクと黒のチェックのバッグから、ミッキーマウスのキーホルダーがついた鍵を取り出す。


鍵口に差し込んで回して、ドアを開けた。


「ただいま」


小さな玄関にはお母さんの靴だけが隅に置かれている。


わたしは靴を脱いだ後、お母さんの靴の隣に揃えた。