彼の手がキライ



彼はペットボトルを持っていない方の手を顔の前にもってきて、謝る仕草をした。


「じゃあ、オレ帰る。矢沢も気をつけて帰れよ?あ、お前だかんな」


曲げていた膝を伸ばして、持っている空のペットボトルでコツンと頭を叩かれた。


「分かってるよ。あんたも気をつけてね」






これが新井達也とわたしの始まり。




普通に電車で会って、たまたま優羽くんちで会って、一緒に帰って、整体に行く約束をした。


ただのクラスメートから、少しだけ……特別なやつになった

と思う。



ただ、恋とかそういうものじゃない。


優羽くんに抱いてる感情とは、全然違うんだもん。