彼の手がキライ



すると、彼の顔が遠ざかった。


「顔覗き込んだのがそんなに嫌?キスするわけじゃねぇのに。軽くショックなんだけど」


キレイ顔はにこやかな表情で、全然ショックを受けている感じじゃない。


「まぁ、オレは嫌われても全然いいんだけどね」


だろうね。


じゃないと笑えないよ。


「明日の放課後、一緒に行きたいところについて来てくれれば」


一緒に行きたいところ?


「それって、どこ?」


新井達也は、右手の親指の腹で自分の下唇をなぞって、両端が上がっている唇を割った。


「父親が働いている整体」