電車から降りて、改札口に切符を飲み込ませる。 優羽くんの家の近くにある駅と同じくらい小さいこの駅。 切符売り場のすぐ隣に改札口があり、改札口と向き合うようにベンチが2つ置かれている。 今わたし達以外の利用者はいない。 わたしは、ベンチに腰をかける。 新井達也は、わたしの視界をふさぐように膝に手を置いて腰を少し曲げた。 中腰の体勢のまま、顔を近づけて覗き込んでくる。 近づく顔から離れようと首をすくめると、新井達也は膝をしっかりと曲げてしゃがんだ。