彼の手がキライ



妙に胸にスッと入ってくる新井達也の言葉にモヤモヤを感じて、イライラしてくる。


あ~!早く駅に着かないかなぁ?


自分でも、なんでこんなちょっとしたことでイライラしているのか分からない。


カルシウムが不足しているのかな?


口を開いたら何か暴言を言ってしまいそうだから、固く上唇と下唇をくっつけた。


わたしはつかんでいるつり革をしばらく見つめ、話しかけられる前まで見ていた窓の外の景色に視線をやる。


たくさんの家が並び、たまに大きなスーパーがある。


新井達也は話しかけてこない。