彼の手がキライ



話の流れでだいたい分かるし。


そこまでバカじゃないから。


「疲れた顔って言うのやめてよ」


新井達也の大きい一重の目を見ないように、足元に視線を落とす。


彼は白に紫のラインが入っているスニーカーを履いていて、その足はトントンとリズムをとっている。


「あのさ、お前は色々とためすぎているの~。それくらい、自分で分かってるだろ~?」


語尾を伸ばさないで欲しい。


バカにされている感じがする。


でも、それ以上に今の自分の状態を、心の中を、覗かれている感覚。


それが、少し怖い。