彼の手がキライ



それに、さっきから何?


疲れた顔、そればっかり。


失礼なやつ!




――そう思うのに。





「なんで、あんたと一緒に電車に乗ってるの?」


ユラユラと、新井達也と向き合うように席に座っているわたし。


ここは電車の中。


半ば強引に引っ張られて駅まで来て切符を買わされ、ここに座らされている。


「“なんで?”って、矢沢が疲れた顔しているから。あ、優羽の方じゃなくてお前だかんな」


いちいち、“矢沢”が誰を指しているか言わなくていいってば。