彼の手がキライ



時間が経つのって早い。


そろそろ家に帰らないと。


「あの……わたし帰るね」


時間のこともあるけど、この微妙な空気が息苦しい。


素早く立って、ぺこりと頭を下げた。


その時


新井達也に腕を掴まれた。


「もう帰んの?だったらオレも帰る」


下げていた頭を上げると、電車で会った時と同じように頭を撫でてきた。


「なにするの!やめてよ!」


「疲れた顔しているやつ、1人で帰らしたら危ねぇだろ?
電柱にぶつかるかもしれねぇし」


バカじゃないの!


電柱にぶつかるわけないでしょ。