彼の手がキライ



「オレさ、駅で“ここで降りるのか?”って訊いただろ?次の駅で降りて和之んちに行った後、矢沢の家に行こうと思っていたから訊いてみたんだ。
お前の名字も矢沢だから親戚なのかなって」


“ここで降りるのか?”って、確かに訊かれた。


優羽くんと友達だったんだね。


“親戚なのかなって”


「わたしと優羽くんは……」


唇を動かしながら、新井達也から優羽くんのお母さんに視線を移すと、眉が下がり、無理やり上げているような口角。


引きつった笑顔の彼女がいた。