彼の手がキライ



開いた口が塞がらないとは、多分、今のわたしのことを表しているんだと思う。


そんなわたしの表情がおかしかったのか、クスクスと笑う男の子3人と優羽くんのお母さん。


わっ、笑われてる!?


慌てて頬を引き締めた。


“くくっ”と笑いをこらえるような声を出しながらも、新井達也は言葉を続ける。


「和之は前住んでいた家の近所でさ、まぁ、幼なじみってやつ。高校に入ってから和之が矢沢と知り合って……、あ、お前じゃねぇよ?」


言われなくても分かってるよ。


わたしの名字は優羽くんと同じ“矢沢”だけど、和之くんと会ったの今日が初めてだし。