彼の手がキライ



「うん、知り合い。クラスメート。この女とは途中まで一緒に電車に乗ってきたんだ」


顎をわたしに突き出してきながら言い、唇の片方だけを上げる新井達也。


いやいや、そんな誤解されるような言い方しないでよ。


……その表情、ムカつくんだけど。


「マジで?仲いいんだな」


ほら、和之くんが信じてるじゃん。


わたしは口をツンと尖らせる。


「仲良くなんかないよ。……ていうか、なんで新井達也がいるの?」


さっきまで話していた声より少し低い声で言うと、和之くんがしょんぼりとして“ごめん”って謝ってきた。