彼の手がキライ



わたしと向かい合うようにお父さんと優羽くんのお母さんが肩を並べて座っている。


手のひらを合わせて“いただきます”と言い、わたし専用のピンク色の箸を持つ。


「元気にしていたか?」


味噌汁に入っている大根を箸でつまんだ時に、お父さんがわたしを見て言ってきた。


眉間に深くシワが刻み込まれているけど、優しい父親。


大根を口に含んで、飲み込んだ後“うん”と答えた。



わたし達が過ごす時間は、食事と少しの時間だけ。


夕方には家に帰って夕飯の支度をしなきゃいけない。