彼の手がキライ



「たまに、優羽の友達や近所の人が来てくれるけど、美羽ちゃんが1番よく会ってくれるの。優羽がすごく喜んでいると思うわ」


穏やかな口調で話す彼女。


「そう、ですか……」


息を整えて言う。


“友達”や“近所の人”。


“彼女”とは言わなかった。


……当たり前、よね。


だって、莱ちゃんは優羽くんのこと覚えてないんだもん。


優羽くんが1番来て欲しいと願う人なのに。


わたしなんかが来て、優羽くんは喜んでいるのかな?


わたしなんかの涙を見て、困っているだけじゃないのかな?


矛盾しているな……わたしの感情。


自分でここに来ているのに、こんなことばかり考えるなんて――…。