前、気持ちの話をしたからなのか、最近一緒にいることが多いからなのか、もともと人をよく見る性格だからなのか、理由は分からないけどタツはわたしの気持ちを見事に当てた。


「うん、やっぱりちょっと羨ましいよ。愛されるっていいことだなって思った」


わたしの左手をそっとタツが握る。


「美羽は前、俺のこと羨ましいって言ったよな?でもさ、美羽にはお母さんもいて、友達がいる、それに…」


ギュッとタツの手に力が入る。


「俺もいる」


自分でもすごく目を見開いたのが分かった。


バッとタツを見る、目が合った瞬間腕を引かれてタツの腕にすっぽりと身体が収まった。


「莱は記憶を取り戻しても希莉といることを選んだ。誰よりも傷ついた莱が笑っているんだ」


莱ちゃんの笑顔が脳裏に浮かぶ。


「俺も美羽も前に進まないといけない。俺は美羽と乗り越えて前に進みたい。美羽のことほっとけないのもあるし、俺自身美羽と一緒にいたら楽なんだ」