彼の手がキライ



「タツもここに来たんだね、今日は優羽の誕生日だもんね」


そう、さっきお母さんも言ってたけど今日は優羽くんの誕生日。


だから、今日という日を選んでここに来た。


タツも優羽くんの誕生日にここに来れるように、施術の時声をかけてくれたんだと思う。


莱ちゃんの言葉から優羽くんの名前が出てきた。


「矢沢のこと、思い出したのか、莱」


莱ちゃんは手で頭をかく素振りをしながら“うん"と言った。


「優羽がいなくなったこと、つらすぎて忘れてたんだろうなーって言うのは想像出来る」


莱ちゃんは仏壇に飾られた優羽くんの写真を見ている。


「部屋から優羽が死んだ日からの病んでる日記が出てきてね、それ読んでたら一気にガーッと記憶がやってきて」