彼の手がキライ



急いでバックの中から飲みかけのお茶が入ったペットボトルを探して、体内に水分を流し込んだ。


「はぁ……はぁ……」


呼吸が出来るようになって少し楽になる。


ペットボトルの中身は、あと4分の1くらい。


全部飲んでしまおうかと思ったけど、潤った喉が“もういい”と拒否する。


仕方なく再びバックの中へ。


リビングへ行こうと廊下の方に体を向けて立つと


「美羽ちゃん、ごめんね……。ありがとう」


優羽くんのお母さんが和室の入り口に寄りかかり、優しい瞳でわたしを見ていた。