彼の手がキライ



いつもタツが羨ましかった。


いつもタツの周りには人がいて、たくさんの人から好かれて、必要とされて。


誰からも愛されないわたしとは大違い。


わたしの頭を抱えているタツの腕に少しだけ力が入る。


「美羽、誰からも好かれたらいいってもんじゃない。好きな人、大事な人に好かれたいんだ俺は」


わたしの頭から手が離れる。


その手はわたしの頭を撫でる。


ちょっと悲しそうな表情でわたしを見つめる。