彼の手がキライ



優羽くん、私は絶対に優羽くんのことを忘れないから。


莱ちゃんが忘れてしまった分まで、私が覚えているからね。


心の中でそう言い、そっとまぶたを上げた。


写真の中の優羽くんと目が合う。


「……っ」


苦しい。


苦しい。


こんなに好きなのに、優羽くんがわたしに残してくれたものなんて1つもない。


他の人を好きになればいいの?


ううん、無理。


忘れられないんじゃないもの。


忘れたくないだもん。


喉の奥が熱い。


涙を流していないのに嗚咽が漏れそうになる。