彼の手がキライ



さすが整体の息子。


慣れた手つきで肩をほぐしていく。


じんわりと肩が暖かくなる感覚がする。


あっ、そうだ、タツに整体行けないこと言わないと…。


「タツ、あのね…」


「なに?」


「母親が体調悪いから仕事をしばらく休むの。だから金銭面でタツのところの整体行けないの」


タツの手が止まる。


思わず後ろを振り返ってタツの顔を見る。


わたしじゃなく、真っ直ぐ前を見つめている。


何か考え事をしてるみたい。


「あっ、そうだ」


何か思いついたのか、口角を上げたタツがわたしを見る。