彼の手がキライ



マリンに手を振って教室を出た。


廊下を歩いていると、他の教室からも楽しそうな声が聞こえる。


窓から入る夕日が眩しい。


下駄箱に着き、上履き代わりのスリッパを脱ぐ。


スリッパを下駄箱に入れて、靴を取り出す。


靴を履いているとき、後方からパタパタとスリッパの足音がした。


足音の方を見ると、タツが立っていた。


下駄箱の後ろにある窓からの夕日で逆光になってる。


「今日打ち上げ来ないの?」


力強い瞳がわたしを捉える。


「お母さんが体調崩してしばらく仕事休むの。それで心配で…」


急に不安な気持ちが押し寄せてくる。


目を逸らした。


視線は自然と自分の足元にある。