彼の手がキライ



莱ちゃんが記憶をなくしたのはわたしのせいじゃないのかって、思ってしまう。


優羽くんが生き返るわけないし、ただの夢だから、わたしが悪くないのは分かってる。


だけど……大切な人に忘れられてる優羽くんの気持ちを考えたら――苦しくて。



マッチを箱で擦って火をつけ、ろうそくの先の細い糸のような部分に火を持っていく。


両方のろうそくに火がつくと、マッチの火を消した。


ユラユラと微かに揺れる火。


一部色がオレンジ色の線香を立て目を閉じ、手を合わせた。