彼の手がキライ



マリンは鋭い。


確かに今、タツがこっち見て笑った、気がする。


「気のせいかもしれないよ」


そう、気のせいかもしれない。


「気のせいじゃないでしょ!なになに新井くんと美羽何かあったの?仲いいの?」


タツとわたしを交互に見ながらマリンが言う。


「仲いいとか、そういうんじゃないよ。別に何もないよ」


学校ではそんなに話さないしね。


「そうなのー?なーんだ、つまんないのー」


そんなやり取りをしてたら体育館全体の照明が落ち、暗くなった。


スクリーンにプロジェクターの光があたり、映像が流れ始める。


タツが女装してる映画が始まった。