彼の手がキライ




「新井くんが出てる映画よ、楽しみ!」


マリンがわたしの肩を掴んでユサユサ揺らしてくる。


「分かった分かった、お願いだからユサユサするの止めて~!」


マリンの手はパッと離れ、ごめんごめん、と手を合わせた。


今度はわたしの頬をツンツンとしながら口角を上げる。


「ふふっ、それにしても今日の美羽すっごく可愛いよね!教室で頑張って髪巻いて良かった~」


そう言われるとすごく恥ずかしい。


いつもは眉とファンデだけだけど、今日は文化祭だからきちんとアイメイクもした。


ピンクのリップもつけてきた、チークも入れた。


髪はマリンに巻いてもらった。


褒められると嬉しい気持ちと同時になんだか恥ずかしい気持ちになる。


体育館のステージの方を見ると大きなスクのリーンがあって、機材の係人がせっせと準備をしている。