彼の手がキライ






――文化祭当日



学校に来るなりみんなすごくテンション高い。


いつも化粧してる子でも更に濃い化粧をして、髪をクルクルに巻いている。


学校のお祭りだもんね。


みんなお祭り気分の中、わたしのテンションは低い。




お母さんが体調を崩した。


仕事の疲れが出たんだと思う。


しばらく仕事を休むことになった。


来月のお母さんの給料少ないし、これは整体に行ってる場合じゃないよね。


優羽くんの家に行くにも交通費かかるし、ちょっと行くの控えた方がいいかな。


「美羽!どうたのー?元気ないよ?」


わたしの顔の前でマリンが手をヒラヒラさせてる。


やばい、ぼーっとしてた。


気づいたら体育館に来ていて、パイプ椅子に座っていた。


限りなく後ろに近い席。


「これから何があるの?」