彼の手がキライ



「今日バイトだろ?家に帰ってどうすんだよ」


あっ、そうか今日はバイトだ。


だったらなおさら早くコンビニ行かないと。


そう思うのにタツが腕から手を離してくれない。


「離してよ、遅刻しちゃうじゃん」


腕に力を入れて手を離そうとするけどやっぱり男の力には勝てない。


こんな細い腕からどうやったらこんな力が出るんだろう、なんてことを考えてしまった。


「あの、さ」


一瞬、合わせていた視点を上にずらして再びわたしを見る。


「明日告白のシーン、1回でいいから練習に付き合ってくれない?」