彼の手がキライ



少し小さなため息をもらして言うとタツが人差し指でわたしの頬をプニッと押した。


「え?そんなに俺の名前呼ぶのに照れてんの?」


カーッと頬が熱を持つのを感じた。


「ちっ、違うもん!」


本当にそういう意味じゃなくて、ずっと新井達也って呼んでたから今更呼び方を変えるのは難しいって意味で言ったのに!


「分かってる分かってる。そんなにムキになるなよ。ははっ、可愛いな」


モテる男はさらりと相手を褒めることが出来るから嫌だ。


タツは特に深い意味で言ってるわけじゃないのに、わたしは可愛いなんて言われることがないから嫌でも照れてしまう。