彼の手がキライ



雑誌を棚にしまい、「お疲れ」と言ってくれる。


整骨院を出て歩きながら背伸びをする彼。


わたしたちが向かう先は新井達也の家の近くにあるコンビニ。


今日はバイトだから新井達也が送ってくれるというのだ。


バイトだけじゃない、家に帰る時も送ってくれる。


毎回申し訳ないと思いながらも素直に甘えてしまう自分がいる。


新井達也に口では勝てないというのが1番の理由だったりするけど。


「なあ」


空に伸ばしていた腕をパタンと音が鳴るように大げさに降ろして口を開く。