彼の手がキライ



女装劇だけど彼の役は男の設定。


新井達也は何回もまばたきをしながら相手役の子をチラッと見る。


おお、新井達也のくせにちゃんと女の子になりきってんじゃん。


女の子になりきった女装男子がそっと唇を開く。


「あっ、ああああなたと、いっいいい一緒の、ク、クククラスだなんて嬉しい、わ!ききき奇跡かも、ね!」


――ええぇ!?


何この人ただ本当に緊張してただけ!?


当然のようにクラス中笑いの渦だ。


「おいおい新井、そりゃねぇわ~!」


相手役の子は注意してるつもりなんだろうか、誰よりも爆笑してるけど!